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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

イラン所感

死ぬほど長文になってしまったが、超個人的見解に基づくイラン旅行評価をしてみました。

※各論での評価と総評が必ずしもマッチしていませんが、それは、現地の食事がどれだけリーズナブルでうまいか・街歩きがどれだけ楽しいかという2点が総評に大きく反映されているからです。 

 

総評 ★★★☆☆

人懐っこさとイスラム文化の建築センスに感動。普段ネガティブな情報しか流れてこないだけに、これは日本に伝えなきゃだめだという使命感に火がついた。笑 本当にすばらしい。冗談抜きであんな趣のある宿とレストランはそうそうあるもんじゃないでしょう。

ただし、食事や宿など、かなり日本とは事情が違うということは理解しなきゃいけない。日本で育ったワタクシとしては、その辺はちょっとハードル高かった。旅の間ぐらいならもちろん何も問題ないんだけど、日本での生活に近い他の国に比べるとちょっとね。

 

参考までに今まで行った街を格付けしてみました。これも超個人的な見解です。

★★★★★ ニューヨーク

★★★★☆ カリフォルニア

★★★☆☆ タイ ベトナム マレーシア 台湾 イラン

★★☆☆☆ フランス スペイン ドーハ

★☆☆☆☆ デトロイト

 

というところで、以下各論。

観光スポット ★★★☆☆

大掛かりなイスラム建築と博物館が中心。イスファハーンという、日本で言う京都みたいなところの建物は信じられないぐらい大きい上にディテールもとても凝っていて、なかなか見応えはある。

ただし、かなりの建物が派手に改修中な上、イスファハーンですらそういう建物は数えるほどしかない。

あと、個人的に興味が薄いからかもしれないが、博物館は中途半端なところが多い印象。英語の説明も自分には分かりにくかった。

ツアーで観光スポットや世界遺産を回る旅には向いてなさそう。

食事  ★★☆☆☆

日本人の口には合わないものもある。付け合わせが8つ切りの生たまねぎだったり、結構キツい香草が山盛りだったりする。ただ、これは旅の後半からはかなり慣れてくる。味覚の体型を理解するようになるというか。これはこれでアリだな、と思うようになる。

問題は油分が多いこと!カレー系はすごくオイリーである。これは慣れなかった。

イラン料理以外を出す店はテヘランにちょっとある程度なので、旅行中にイラン料理以外を口にするのはかなりの難易度。というか、旅行中でイラン料理以外を食べたことはなかった。

あと、酒は禁止されているため、外国人向けのホテルであっても出さない。その代わりにノンアルコールビールがあるんだけど、ビールというよりは甘さ控えめのファンタみたいなものだった。

 移動  ★★★★☆

まず市内。郊外の観光スポットに行かない限り、ほぼ徒歩で回れる。あとは、タクシーが基本的に数百円なので使わない手はない。郊外の駅まで2,30分高速ぶっ飛ばしても1200円ぐらい。バスはアラビア文字表記だから分かりにくくて、わざわざ使う必要はないと思った。

都市間は、長距離バスと電車とフライトがある。長距離バスは死ぬほど充実してる。電車もなかなか。ちなみにバスは10時間乗って600円ぐらい、電車は6時間乗って700円。フライトも5000円ぐらい。安くて本数多いからかなり使い勝手はいいんだけど、日本で得られるスケジュールと違ってる場合もあるし、トラブルも起こりえるため、あまりカツカツしたスケジュールを組んじゃうと厳しい。実際、最終日前日にテヘランに向かうバスに乗ったけど、エンストして2時間止まった。

 気候 ★★★★☆

地域によるけど、長袖シャツ~半袖シャツぐらい。湿度低くて死ぬほど快適。ただしこれは今の時期限定で、夏は40度、冬は積雪もあるとのこと。

街並み  ★★★★★

今回のハイライト。乾いた大地という印象の強いイランだけど、山水や地下水を巧みに活用して、街中に緑を絶やさないようにしている。あとはその見せ方が素晴らしい。土で作った家が立ち並ぶ中、建物に入るといきなり中庭に死ぬほどきれいな庭園が出現するところは何度見ても感動。中庭に感動しやすいだけかもしれないがw 

物価  ★★★☆☆

メシは期待していたほど安くない。300円ぐらいは絶対かかる。ご飯は家で作って食べるのがデフォだから外食が高いんだろうね。だから、普段からみんなが食べるソフトクリームは40円と安い。

観光スポットの入場料は30円程度。破格。上述したけど、移動も信じられないぐらい安い。

あと、ちょっと本筋からは逸れるけど、カードがほぼ使えないというのも困り物。現金盗られたら一巻の終わり!ということでせめて2箇所ぐらいには分散して持っておきましょう。

ホテル ★★★☆☆

ドミトリーが少ないから安く済ませるのがちょっと大変。風呂トイレエアコンつきで、1泊1500~2000円程度。あんましキレイではない。普通のビルみたいな宿だとほんとに安宿という感じだけど、ヤズドという街の旧市街の宿は、昔キャラバンが泊まってた場所なんかを改装して使ってたりして雰囲気抜群。古さはほとんど感じられない。唯一の問題は蚊が入ってくることぐらい。

ホテルの従業員は基本的にとても親切で、タクシーや長距離バスの手配、果ては旅行のプランニングを手伝ってくれる人までいた(人に関しては後述)。

言葉 ★★★☆☆

ホテルでは最低限の意思疎通はできる程度の英語力を持ったスタッフが一人は常駐している。

街中ではほぼ英語は通じないと思ったほうがいいかもしれない。4、5人の集団に話しかけると、一人ぐらいカタコトの英語をしゃべれる人がいるという印象。英語が通じないとはいえ、街中で絶対必要な会話など、行きたい場所かモノの値段を聞くぐらいだから、全然なんとかなる。こちらが一生懸命話せば向こうも一生懸命理解しようとしてくれるし、困ってると英語をしゃべれる人が助けてくれることもある。

あと、ペルシャ語でこんにちはとありがとうを覚えておくとめちゃくちゃ驚かれ、すごく嬉しそうな顔をされる。

人 ★★★★★

半端じゃない人懐っこさ。街中を歩いてると、その辺でたむろしてるオッサンたちがすぐ声をかけてくる。ちょっと目が合ってこっちから「サラーム(こんにちは)」と言うと、かなりの確率でくっそ笑顔で挨拶してくる。すぐ握手を求めてくる。

道に迷いそうになってその辺の人に声をかけると、ほぼ確実に助けてくれた。スパイス屋のお兄ちゃんは、店番してたのにわざわざ店を閉め、案内してくれた。バスや電車に乗ったときもみんな親切。とりあえず食い物をひたすら分けてくれる。トイレ行って帰ってきたらコーヒー淹れておいてくれたり、果ては到着後のタクシーを手配してくれて、タク代まで払ってくれるやつもいた。なぜここまで優しいのか本当に謎。

ちょっと仲良くなると、食事にも招待される。ホテルの従業員や絨毯屋の兄ちゃんなど、仲良くなると、とりあえずこれ食べろという流れになる。

唯一残念なのが、観光地での客引きぐらいかなあ。まあこれはアジアのどこの国に行ってもあるか。特に日本語しゃべれるやつとはめんどくさい展開になりがちだから注意。日本で働きたいとか、絨毯売りつけようとしてきたりとか。

(余談だけど、日本語喋れる鬱陶しいヤツが、「オーその本知ってるよ!地球のマヨイカタ!」と言ってた時は笑った。きっとこいつを鬱陶しいと思った別の日本人が仕込んだんだろう。すごくスカッとした。)

あと子供たちは輪をかけて人懐っこい。遠足に出くわすことが何度かあったけど、そのたびに3、40人に囲まれて質問攻めに遭うwカメラを出そうものなら、全速力で駆け寄ってきて撮ってくれと言いはじめる。一緒に撮ってくれとも死ぬほど言われる。軽く有名人にでもなったかのようである。w

ちなみに、話しかけてくるのはほとんどが男性。女性はほぼ話しかけてこなかった(このあたりは後述)。

治安 ★★★★★

全く問題ない。スリがあると聞いていたけど全然そんな気配はなかった。ボッタクリも全然なかった。深夜のバスターミナルが危険と聞いていたけど、基本的にすぐバスの同乗者と仲良くなっちゃうから、彼らについていってタクシー乗り場まで行けば全く問題なかった。

通信 ★★★★☆

たまにwifi通じないホテルがあるけど、ちゃんとホテル選べば問題ないはず。iphoneもって行けば、基本的にローミングで電話もできる。いくらかかってるんだか分かんないけど、まあそんなに長電話するわけでもないし、大丈夫なはず。(不安になって調べたら、30秒300円だった。。。4000円分ぐらいは喋っちゃったな・・・ 

地球の歩き方 ★★★☆☆

ホテルやレストランの情報は古いし、何よりトラベル会話集がイマイチ。ただ、こんな情報の乏しい国の迷路みたいな市場の地図がきちんと載ってたりするところはさすがだと思う。どうやらロンリープラネットを持っていったほうがいいみたいだね。

 

 

評価とは関係ないんだけど、普段イスラム教に触れる機会がほとんどないので、宗教についてもちょっとだけ。

 

イランは超厳格なイスラム教。酒は絶対だめだし、女性は旅行者だろうが非ムスリムじゃなかろうが絶対スカーフ着用が義務付けられている。また、男性と話すこととか、男性のカメラに写ることもご法度っぽい風潮。とはいえ、女性の敬虔さの度合いは世代によるっぽい。

旅を通して女性に話しかけられたことが3回あったと思うけど、自分と同世代から話しかけられたのが1回と、高校生~大学生あたりから2回。それ以上の年代からは、男と一緒にいる女の人を除けば皆無。また、写真を取らせてくれたのは高校生だけだった。服装に関して言えば、女性は原則として体のラインが見えるような服を着ちゃいけないことになってるんだけど、そのあたりはだいぶアバウト。若い子はピタっとしたトレンチコートみたいなのを着てる人が多かった。

男性は世代を超えて結構オープンな人が多い印象ではあった。ポルノがご法度な割に、くっそ卑猥なエロ動画を見せ付けられたこともあったし、iphoneにエロ動画入ってないのかと何度か聞かれたりした。笑 あとは大統領やホメイニを茶化してるやつもいた。

一方で死ぬほど敬虔な人がいるのも事実。「Girls are west.(最近の若い女の子は西側指向である)」と嘆いている29歳がいた。彼は聖地を巡りに10年前イラクに行ったとのこと。

宗教観については結構バラツキがあるんだなあと感じた。特に高校生ぐらいの若い女の子はかなり欧米寄りのマインドなんじゃなかろうか。彼女たちがもうちょっと大きくなったとき、どういう国になっていくかは見てみたいと思った。

ちなみに、お前は何教なんだと聞かれることがあるが、無宗教とは絶対に答えない方がいいらしい。

 

あとビザに関しても一言。

行く前にはいろんな人からくっそ脅されたけど、行ったらすんなり取れた。帰りのチケットとホテルの予約ができてればまず大丈夫といったところか。もちろん情勢によって変わることはありうるとは思うし、実際何の手続きもなしでぶっこんだのは15人中自分含めて3人ぐらいしかいなくて、しかも結構待たされたからヒヤヒヤしたのも事実。

日本でビザを取得するのは結構金かかるので、少なくともイランの外務省の許可を取り付けるとこまではやりましょう。それ自体はタダ。今は許可を取り付けるシステムがダウンしているけど、そのうち復旧するでしょうしね。