so far

駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

ジャズにピンとこない全ての若者へ

Joey Defrancescoが亡くなってしまった。。。ちょっと前のニュースだけど、まだ若かったのに非常に残念。このブログではあまりジャズミュージシャンは取り上げないようにしているのですが、今回は特別に。

みなさん、Jazzというとやけに格調高い気がしませんか?聞いてもピンとこないし、演奏できる気もしないし、、、当方もそうでした。多分原因は、いつも聞いている音楽とあまりにかけ離れているからじゃないかなと思うわけです。皆様、イマドキの若者なのでKing Gnuとかヒゲダンとか聞いてるわけですよね?まあJazzとは程遠いジャンルのわけです。クラシックがとっつきにくいのと同じ話です。つまり、変な話ですが、Jazzがもう少しJpopに近かったら(もしJazzがもう少し騒がしければ)聞きやすいのではないでしょうか?

Joey Defrancescoはそういう意味では割とボーダーレスなミュージシャンでした。Jpopをやるわけではないけど、キャッチーな曲をカバーしたりしていてJpop出身者にも聞きやすいと思います。ということで、当方のおすすめなキャッチーなジャズをいくつかご紹介。全然ジャズっぽくないでしょう?でも、これはれっきとしたジャズです。

 

youtu.be

youtu.be

2個目のYoutubeは6:30ぐらいからソロが始まるよ!

 

いかがでしょうか。いきなりピアノ・ベース・ドラムの静寂なジャズから始めるのもいいですが、こういうキャッチーなやつから入るともっとスムーズに聞けるのではないでしょうか。ということで、また次回!

 

バンドアレンジ実践編(3)24k magic / Bruno Mars

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はい皆さんこんにちは。今日はBruno Marsを取り上げたいと思います。Bruno Marsのことはほとんど解説不要だと思います。Just the Way You Areなどのヒット曲を出した後から徐々に自分のやりたい音楽を貫き始め、Unorthodox Jukeboxあたりからはやりたい音楽をやりたい放題やると言うスタイルになりました。それでもヒット連発してるのが素晴らしいところです。

さて、今日取り上げるのは24K Magicと言う曲です。まぁこの曲も説明不要でしょう。グラミー賞も取りましたし、様々な場所で耳にしましたね。

この曲は、一言で言えば1980年代のサウンドへのリスペクトです。とにかく曲の初めから終わりまで、80年代に流行ったサウンドがちりばめられています。おそらくキーボード奏者の皆さんは、こういうかっこいい音色がどうやって作られているのか、どのような楽器で演奏されているのかなど、気になることでしょう。ということで、今日は、この曲で使われているキーボードを中心に解説していきたいと思います。

オープニング

オープニングはロボットみたいな声で始まっていますが、これはトークボックスという楽器を使っています。そもそも、人間の歌声というのは、声帯で音を作り(ピッチはここで決まる)、作った音を口の形を変えて歌詞にしていますが、この声帯の役割をシンセにやらせるというのがトークボックスのコンセプトです。キーボードを特殊なアンプに繋いで、アンプの音が出る部分にチューブをつけます。そうするとチューブから音が出てくるので、それを口の中で反射させながら口の形を変えて言葉にし、マイクで拾います。まあ、ピンとこないと思うのでYouTubeで検索してみてください。笑 声帯を使わずに喋るというのはかなり高度な技術が必要で、トークボックスで実際に歌っているように聞こえるようになるまでには結構な訓練が必要です。

ちなみに、似たようなサウンドを得られるものにボコーダーと言うものがあります。似てるけど原理は全く違っていて、ボコーダーは人間の実際の歌声をシンセサイザーに取り込みます。で、取り込んだ人間の声のピッチを変えたりフィルターしたり、シンセサイザーの中でいろいろ加工してロボットみたいな声を作ります。ボコーダーはマイクに向かって歌うだけなのでトークボックスより簡単でいいんですが、ライブだとマイクに別の楽器の音が入ったりしてうまく使えない欠点があります。印象ですが、こういうロボットみたいな声を出すときにボコーダーを使っているプロのライブは見たことない気がします。(Earth, Wind & FireのBoogie Wonderlandのイントロはボコーダーかも)
イントロではトークボックスの裏の和音も、トークボックスを重ねて作っています。が、ライブでは再現不可能なので、後述のアナログポリフォニックシンセで対応するのが良いのではないでしょうか。そのままだとカッコ悪いので、オルガンの要領で、ボリュームペダルを駆使しながら弾いてみたら結構雰囲気出ると思います。

イントロ・Aメロ・サビ

さて、続いてイントロとAメロです。シンセブラスっぽい音でコードを弾いています。これはちょっと自信がないですが、多分OberheimかProphetというポリフォニックシンセサイザーじゃなかろうかと思います。当然ですが、アナログシンセです。キーボーディストの皆様がシンセやってみたいなーと何かの音源を聴いて思った場合、大抵においてその音はアナログシンセです。デジタルシンセは使いません。というのも、デジタルシンセはEDMやトランス、ハウスなど、クラブミュージックを作るときに使われるからです。バンドで使われるのは大抵アナログシンセ。これには理由があって、バンドのサウンドはドラムとベースが生楽器に近い音であることがほとんどなので、そういったサウンドと相性の良いシンセサイザーが選ばれます。それがアナログシンセというわけ。アナログシンセと言うとみんなすぐMoogばかりを連想しますが、Moogが実際に使われているケースと言うのはあまり多くありません。特に歌モノの場合。歌モノでもっとよく使われるのはポリフォニックシンセサイザーと言われるもので、複数の音を同時に出すことができるシンセです。Moogはモノフォニックシンセサイザーと言って、基本的に単音しか出すことができません。
お持ちのシンセサイザーでは、多分権利の関係で、これまた様々な名前で登録されています。Ob synthとか書いてありますので頑張って探しましょう。この音色はとても有名なので、多分聞けばすぐわかると思います。
高音で鳴っている単音は、多分ノコギリ波と呼ばれる音を使っています。これはお手持ちのキーボードでは、Saw Leadなどという名前でプリセットされていると思います。これはもうちょっと音をいじると、超凶悪なリードソロに使える音なので、今後のために覚えておきましょう。
Aメロは基本的にイントロと同じことを音量下げてやれば大丈夫です。本当は別の音色を使っているように聞こえますが、まあ気にしないでいいと思います。

Bメロ

Bメロはまたちょっと違うサウンドですよね。ですが、実はこれは多分Aメロと全く同じ音源を使っています。冒頭、こもった音がしていると思いますが、これはローパスフィルターというフィルターがかかっているからです。Low Pass、つまり低音だけ通すフィルターで、これを使うとこもった音になります。このフィルターをどこかのツマミにアサインして、そのツマミを回すとローパスフィルターのかかり具合が調整できるという感じです。このローパスフィルターというのはアナログシンセでは本当によく使いますので、絶対覚えておいた方がいいです。シンセをお持ちの場合、モジュレーションホイール(よく左の端についてる、ピッチベンドの隣にあるやつ)にアサインされていることが多いです。つまり、それぐらいリアルタイムで使うことが多いということです。
ちなみに、うねりっぽさが若干あるので、フランジャーが多少かかっていると思います。が、できたらでOKです。

Cメロ

ここも基本は同じ音色ですね。シンセブラスのローパスフィルターをいじりながら、ベストの音色を探しましょう。

番外編:ベース

歌モノではほとんど使ってないと言ったけど、使われています。笑 でも、キーボードじゃなくてベースですね。この曲はシンセベースですが、多分Moogなんじゃないかと思います。Moogは多分皆様知っているでしょう。歌モノの場合、キーボードとしての使用頻度は低いけど、ベースはある。でもここでもやはり、皆様はバンドマンなので、シンセベースの曲ってあんまりやらないよね。バンドで再現するときは割り切って生のベースでやらせるか、ベーシストが鍵盤弾けるなら、鍵盤でシンセベースを弾いてもらってもいいと思います。たまにライブでエレキベースとシンセベースを両方セットしてる人いますね。
Moogの本物は高いし、かと言ってベーシストに自分のシンセサイザーを貸すわけにもいかない、、、そんな場合は、Microkorgというシンセを購入するのもおすすめです。このシンセ、3万円ぐらいのくせによく使うシンセの音色はかなり網羅されていて良いです。問題は鍵盤数が少ないところですが、ベーシストにベースを弾かせるだけだったらこれぐらいで十分ですし、自分でゴリゴリ弾きたい場合は、MIDI接続で他の鍵盤で鳴らしてあげれば良いです。

 

はい!ということで、結構盛りだくさんになりました。。。疲れた。。。本来はバンドで曲を再現するのにどうするか?という観点で曲を解説するシリーズなのですが、今回はちょっと特別編で、原曲の音色に近づける方法を紹介しました。まあこの曲をバンドでやるなら、さすがに最低限上記で触れた部分ぐらいはカバーしなければあまりこの曲をやる意味もないと思ったのでね!ということで、読者諸氏の検討を祈る。

バンドアレンジ実践編(2) ミックスナッツ / Official髭男dism

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はいこんにちは。今日は、Official髭男dismのミックスナッツと言う曲を解説していきたいと思います。

Official髭男dismはとても有名なので別に改めて僕が説明する必要はないと思いますが、ホーン隊、つまり管楽器を含めた大所帯バンドです。ですので、必ず曲にはホーンが入っています。

今回のミックスナッツと言う曲ですが、最近の若い人たちはこんな難しい曲をコピーしなきゃいけなくて大変だなというのが最初に聞いた感想です。笑  とは言え、せっかくなのでできる限り解説してみたいと思います。

まず全体的に言えることですが、テンポがものすごく早いです。というのもこの曲はジャズのビートがベースになって作られています。ジャズでは基本的にテンポはポップスの倍で取ります。イントロを聞くとベースがウォーキング(知らない人はググること!)していますが、あの1音1音が四分音符です。とても早いです。それでは、パート別にちょっと見ていきたいと思います。

ドラム:難

なんといっても最初に触れた方が良いのは、本来はキーボーディストの皆様を対象にしたブログなのですが、ここではドラムです。とにかく早いです。その上、サビのリズムパターンはスネアドラムがかなり変則的で、とても難しいと思います。コツですが、もし簡単にやりたいと思うのであれば、イントロなどの4ビートのパターンはとにかくライドシンバルは四分音符だけを叩くこと、2拍目と4拍目にハイハット(踏んで音を出す)を入れること、この2点を最優先に考えてアレンジをしてみてください。例えばシンバルのレガートだと8分のシャッフルなど入れたくなります。またジャズのドラムのパターンなどでYouTubeで検索すると、スネアドラムのゴーストノートなんかがたくさん入っている例があると思いますが、今回はとにかく早いので、そういうおまけ的な要素は一旦排除して考えましょう。

サビは複雑なリズムパターンで一瞬戸惑うかもしれません。ただ、よく聞いてみると基本のグルーブはシンプルなエイトビートに近いと思います。ですのでシンプルなエイトビートを基本に、細かいスネアドラムをちょっと足して試行錯誤してみるのが良いかなと思います。最初から闇雲にこのスネアドラムのパターンをコピーしようと考えると、ビート全体が崩れてしまうので、気をつけましょう。

ピアノ:やや難

次はピアノです。ピアノは、基本的にはオーソドックスなジャズピアノを踏襲しています。いわゆるビッグバンドジャズと呼ばれる、10人以上の大人数で演奏されるジャズなどでは、このようなピアノがよく出てきます。トリオやカルテットのような小さい編成のピアノもこんな感じですが。一方で、あくまでこの曲はポップスなので、使っているコードはジャズではなくポップスのものです。具体的に言えば、代理コードやアッパーストラクチャートライアド(分からなければググ略)などは使っていません。

ピアノのコードについては実はそんなに特筆すべき事はありません。とにかくリズム感に気をつけることが大事です。ベードラの合いの手のような弾き方になるので、リズムパターンはトリッキーです。パターンは完全コピーする必要はありません。テキトーに、8分裏とかに入れましょう。でもテンポが早いのでテキトーに弾くと強拍の位置が分からなくなるので、ちゃんとメトロノームで練習しましょう。

ベース:難

最後にベースです。ポップスをやっている皆様にとって、ウォーキングベースは最もハードルが高いベースパターンの1つだと思います。しかもこの曲はものすごく早いので、超高速ウォーキングベースになっています。

コード進行だけを見て、この曲のウォーキングベースのフレーズがすぐに思いつく人がいたら、さっさとジャズミュージシャンに転向したほうがいいと思います。正直、かなりレベルが高いので個人的には完コピすることをお勧めします。完コピと言うとめんどくさいなぁとか、時間がかかる、などのご意見があるかと思います。一方で、自分で耳を使ってコピーすると、なぜこのコードに対してこのウォーキングパターンなのかというのがよく理解できます。私も学生時代300曲位の曲を耳コピしました。それだけの曲数をこなす必要があるかは分かりませんが、少なくとも耳コピをたくさんすることで耳が良くなったのは明確な事実です。

その他

ボーカルの音が高い!!ヒゲダンはというか、最近のポップスは洋楽も邦楽もみんな高い音を多用します。みんながボイトレの重要性に気づき、歌も訓練で良くなるということが広く知られるようになってから、この傾向が強くなってきたような気がします。なので、ボイトレをすれば基本的に出せる音域だとおもうのですが、まあ難しいケースもあると思います。その場合は遠慮なくキーを下げましょう。ボーカルの人はカラオケ屋でも行ってきて、キーを上げ下げしながらどのキーが一番しっくりくるか確認し、みんなに伝えることが重要です。歌ものバンドなので、原曲のキーに関わらず、ボーカルが最もかっこよく聞こえるキーがベストのキーです。
ただ、ボーカルはこの作業を選曲が決まったら即やりましょう。というのも、ピアノやベースは途中でキーが変わるとほぼ全部準備をやり直しになるからです。この曲は特にベースですね。高速ウォーキングベースを完コピして練習に臨んでボーカルが半音下げろと言ってきた日には、相当なダメージが残ります。このキー問題については奥が深いのでそのうちまとめます。楽器はその場でキーチェンジに対応できた方が演奏の機会が飛躍的に増大するし、ライブごとの準備の時間も激減するので長期的には対応できるようになった方が良いのですが、まだ経験年数の浅い読者様には酷だと思うので、早めのコミュニケーションで対策するようにしてみてください。

 

ということで、今回はOfficial髭男dismのミックスナッツと言う曲の解説をしてみました。この曲はかなりチャレンジングだと思います。なので、正直他の曲に変えるのもありだと思います。笑 それでもどうしてもチャレンジしてみたい、と言う勇敢な読者の皆様がいらっしゃれば、コピーすること自体は必ずや皆様の力になっていくと思います。それでは頑張ってください。

バンドアレンジ実践編(1) Habit / SEKAI NO OWARI

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はい皆さんこんにちは。今回から、新しい取り組みを始めようと思います。Jpopを中心にバンドでコピーしたい曲をピックアップし、アレンジの仕方について解説します。バンドスコアは完コピを目指していますが、キーボード3人必要と書いてあるなど、現実的にコピー不可能な曲はたくさんあります。ここでは、ギター・ベース・ドラム・キーボードという一般的な編成でどこまでできるか?という観点で解説しています。以前、以下のエントリでも記載しましたが、バンドで再現する際は、完コピがゴールではなく、ライブが感動を届けられることがゴールです。そんな点を念頭に、お楽しみください。

onthecouch.hatenablog.jp

 

今日はSEKAI NO OWARIのHabitという曲を取り上げてみたいと思います。この曲は、ちょっと聞くとギターとベースとドラムとボーカルしかいない、いわゆるロックバンドのように聞こえるのでそのままコピーできそうですが、この曲はミキシングの工程でかなり音量をいじっているので、このままライブで再現するのは不可能です。以下でその点をどうやって解決するかについて、解説したいと思います。

Aメロ

まず、Aメロのバッキングで(というかこの曲は全般的にそうですが)、ギターはずっとブリッジミュートを使っています。このブリッジミュートと言うのはもちろんロックではたくさん使われるんですが、ミュートなのであまり大きな音が出ません。でもドラムは普通に叩いています。なので、原曲ではブリッジミュートのところだけギターの音量が上がっています。もしこれをこのままライブで再現しようとするとギターはかなり音量を上げなければいけなくなりますが、この場合普通にミュートなしでギターを弾いたときにものすごい音量が出ます。ですので、個人的なオススメとしては、ブリッジミュートではなくて、普通にコード弾きで同じリズムを弾くのがいいと思います。

サビ

サビですが、引き続きギターはブリッジミュートをしています。この音源でサビの盛り上がった感を出しているのはコーラスの音量です。つまりコーラスが厚くなることで音圧が上がって、サビっぽさが出ています。ただ、実際のライブでこのままやろうとすると、かなりの確率でなぜかサビが盛り上がらないよね、という感じになります。というのも、通常、コーラスはライブの編成では全体のボリュームに大きな影響及ぼすものでは無いからです。サビっぽさを出したかったら、個人的にはギターを白玉にして空間を埋めてみたり、ドラムの手数を増やしてみたり、もしくはオルガンを追加すると言うのが良い選択肢なんじゃないかと思います。

キーボード、どうする?

基本的には音源通り、オルガンになると思います。後半になるといくつかのキーボードもしくはシンセサイザーのような音が出てきますが、この曲はロックで、結構勢いを重視したい感じになると思うので、おそらくあまり頻繁に音色を変えたりせず、オルガンのみで対応するのがいいんじゃないかなと思います。例えば最後のサビの直前にブレイクがありますが、そこは原曲通りの音色ではなく、おそらくオルガンのグリッサンドかなにかを使うと勢いが出てかっこいい感じになると思います。また、サビの盛り上がりやAメロの落とした感じなどダイナミクスをつけたい場合も、オルガンだと結構簡単にできるのでやってみるといいかなと思います。具体的には、Aメロでは全くひかないか、ギターとベースのリズムに合わせて一瞬だけコード弾きをする。そしてサビは、白玉をひいてコード間をサポートしてあげる。ギターで白玉弾いてもいいですが、疾走感がほしいので、本当はギターはもうちょい細かいフレーズが好ましいです。オルガンがいればギターは細かいリフに専念できるので、そういう役割分担もよいのかなと思います。

 

ということで、原曲の感じをうまくバンドで再現すべく、頑張ってください!

エレピってなんなの?

はい皆さんこんにちは。

今回はかなりストレートなお話です。エレピってなんなの?読者様のほとんどは知っていると思いますが、まだまだキーボードを始めたばかりの方にも、大分分かって来たぞ!という方にも、改めてエレピというものについてご説明したいと思います。

エレピとは?

エレピというのはエレクトリックピアノ(electric piano)の略です。何らかの機構で出した音を、電気の力(=アンプ)を使って増幅する楽器のことを言います。さっぱり分かりませんよね。考え方はエレキギターと同じです。鍵盤にハンマーがついているので、弾くとハンマーが中にある鉄琴みたいなプレートを叩き、その音をピックアップで拾ってアンプに送り、増幅させてスピーカーから音を出す、みたいな構造です。言ってみれば鉄琴なので、全く歪んでいない場合は結構鉄琴に似た音がします。有名どころだと、Fender Rhodesという機種と、Wurlitzerというのがあります。このうち歌モノで現在圧倒的に使われているのはFender Rhodesです。体感95%ぐらい。
ちなみにこれはどちらも電気ピアノであって、電子ピアノは完全に別物です。電子ピアノは、内蔵されているコンピューターに音源が入っていて、鍵盤の先にあるスイッチをトリガーとして内蔵コンピューターがあらかじめ録音された音を出しているだけです。言ってみれば、MP3プレーヤーみたいなものです。

なんでこんなにチヤホヤされてるの?

されてますねえ。高校生でバンドやってた頃なんて、キーボードの音色はピアノかストリングスかホーンぐらいしかなかったのに、突然現れたエレピ。とにかくR&BやJ-popでは本当によく使われています。ピアノほど目立たないけど、パッドやストリングスほど埋もれないし、使い勝手が良いのです。
あと、ピアノと違ってキーから指を離した瞬間に音が止まる=キレが良いので、ファンキーな曲にもよく使われます。

曲によって音全然違くね?

ごもっともです。もう本当に全然違う。例えばFender Rhodesは有名なのがMark IからMark Vぐらいで、割とそれぞれ音が違います。そしてヴィンテージ機材なので、個体差がある。更にアンプ内蔵型とそうでないものも音が大きく違う。その上エフェクタを複数重ねるのが当たり前で、しかも歌モノだと目立たないから、最初は特定するだけでも大変。
とはいえ、一番大きく音に影響を与えるのはエフェクタなので、よく使われるエフェクタの種類と参考音源を紹介した拙著記事もご参考に。
エレピのエフェクトについて - so far

どうやって弾くの?

歌ものの場合、基本は普通のピアノとほぼ一緒。コードを弾いたりオブリを入れたりなどなど。ファンク系の時だけはゴーストノートを入れたりするからちょっと特殊だけど、結構難しい上に自分の世界に入りがち=周りが聞こえなくなるリスクがあるので、基本はシンプルに、周りのアンサンブルを聴きながら弾くのが吉。

音源どこに入ってるの?

E Pianoみたいなセクションに入っています。Pianoセクションかもしれない。RhodesやWurlitzerという名前は商標登録されているのでどうやら簡単に使えないようで、各社、Vintage EPとかReed EPとかいろんな「それっぽい」名前で収録しています。ぱっと見どれだかわからないので、とりあえず弾いてみるのが良いと思います。大体VintageとついていたらRhodesだと思いましょう。Wurlitzerは色々ですがWurlyとか、Reed EPとか、ひどいとVintage EP 2とかになっています。音色もわからないのに名前も分かりにくくて最悪ですね。頑張りましょう。

 

ということで、

かなり発散的に書いてしまいましたが、エレピに関する疑問にいくつか答えられたのではないかと思います。他にもエレピに関連する記事はいくつか執筆予定なので、乞うご期待!

 

初めてキーボードをはじめるあなたに(8)音量ちゃんと気にしてますか?

はい、今日は音量の話です。デカすぎるか全く聞こえないか。キーボードってだいたいどっちかだと思います。ボリューム上げるとうるさいし、下げると全然聞こえないし。。。これってどうなってんねん!!!ということで、今回は、キーボードの音量について考えてみたいと思います。

音量ってなんでっしゃろ

これ、実は超深い問題なんです。物理的に言えば、デシベルで表される量の多寡なんだけど、バンドで言う音量というのは、それだけではないのです。例えば、ドラムがうるさいからキーボードの音が聞こえないと言ってキーボードの音量を上げると、今度はギターが聞こえなくなる。だからギターが音量を上げる。そうするとボーカルが聞こえなくなるからボーカルはもっと上げる。そうするとまたキーボードは聞こえなくなるから音量を上げる。。。ボーカルはもっと上げたいけど、これ以上ボリュームあげるとハウるから諦める。結果、楽器のせいで歌が全然聞こえないバンドが出来上がる。こうなると最悪ですね。でも、初めてのバンド活動はだいたいこうなります。
音量というのは、シンプルにいえば使っているスピーカーのサイズ(と部屋のサイズとドラマーの音量)で上限が決まります。つまり、いろんな楽器をどんどん上げまくると限界がきます。では例えばキーボードが聞こえにくいときはどうすればいいんでしょうか?矛盾するようですが、「音量を上げずに聞こえるようにする」必要があります。そんな方法あるんかいな!?ええ、あるんです。ですからこのブログがなんとかやっていけてるんですよ。笑

音量を上げずに聞こえるようにする方法は、以下にまとめられると思います。

  1. ダイナミクス(ベロシティとボリュームペダル)
  2. スピーカーの向き
  3. イコライジング
  4. アタック音の調整

ダイナミクス

いきなり音量ぽいやつから始まってるじゃねえか!というツッコミは無しで。笑 一応知らない方のために、ダイナミクスというのは音の強弱のことです。ピアノなんかはこれがとてもつけやすい。タッチの強さでかなりのレンジを表現できるからね。逆に、オルガンなんかは音量が一定だから、ボリュームペダルで調整しなければならない。
キーボードが聞こえない、というのは特徴的なフレーズなどが聞こえない場合にメンバーから発せられることが多い言葉です。つまり、そこだけちゃんと聞こえるようにダイナミクスをつけてあげれば、解決します。超シンプルなんだけど、これが一番有効なんじゃなかろうか。よくあるのは、例えば1サビでボーカルの裏でストリングスを弾いてて、直後の間奏ではストリングスでメインメロディを弾くケース。サビでは抑え気味に弾いて、間奏ではボリュームを上げると、欲しい時だけ前に出てくるのでとても良い。
ちなみに、特にピアノ出身者に言えますが、総じて鍵盤のタッチが強すぎて、マックスの音量が出ていることが多いです。ピアノ鍵盤のキーボードはともかく、読者様が持ち運んでいるキーボードは基本的にはもっと軽い鍵盤だと思います。この鍵盤は、ピアノと同じノリで弾いちゃダメです。相当に軽いタッチで弾いてください。実はこれが相当難しく、この軽い鍵盤で軽いタッチで音量を揃え、かつリズムも一定に保つ、というのはそれなりに訓練が必要です。ただ、それでもタッチでダイナミクスをつけるのが最も自然かつ簡単なので、これは頑張って習得しましょう。少なくとも、Aメロとラスサビとかで同じダイナミクスで弾いてるようだとダメです。

②スピーカーの向き

これ、めちゃくちゃ重要。自分のスピーカーが他の人に向いていると、聞こえないから無意識にボリューム上げがち。そうすると無用にキーボードのボリュームが上がって全体的にうるさくなります。なので、自分の音がきちんと聞こえるようにスピーカーを向けることは非常に重要。同時に、他のメンバーのスピーカーの向きも要チェック。例えば、ギタリストがギターアンプを床に置いてその目の前に立って弾いている場合、ギターの音はギタリストの足をすり抜けてみんなに届きます。これだとギタリストには聞こえないので、高さを調整する・アンプを傾けるなど、いろいろ調整してもらいましょう。

イコライジング

一般的に、キーボードの音域は中音域で、ここにはいろんな音があります。ギターやホーン隊、コーラス、その他楽器・・・様々な楽器がこのレンジで音を鳴らします。つまり、ゴチャゴチャしやすいというわけです。
そこで試して欲しいのが、EQ(イコライジング)です。基本的に中音域でぶつかりやすい、ということが理解できたら、イコライジングで中音域を下げて、高音域をちょっと持ち上げると、スッキリしやすいということがわかってくれると思います。ただし、問題は生音っぽさは途端に減るということ。例えばピアノなんか、中音域がいかに豊かかで各社が凌ぎを削っているようなもんだから、EQで中音域をカットすると間違いなく寂しい感じになります。単体で聴いたらね。でも今回はバックバンドなので、あまりきにする必要はありません。それよりむしろ、他のサウンドとちゃんと混じって聞こえるか?が重要です。

④アタック音の調整

これは③のイコライジングに近い。音の成分は(ざっくり分けると)最初のアタックとその後の減衰に分けられます。例えばストリングスは立ち上がりが遅いのでアタックが少なめ。一方ピアノはアタック多め。オルガンは常に一定(パーカッションモードを除く)。「聞こえない!」と言われる場合、アタック音があれば「聞こえる」状態になるケースはたくさんあります。アタック音の量は、シンセサイザー上でエディット可能なケースが結構あるので、ストリングスが埋もれているなと思ったらアタックを多めにしてみる、オルガンならパーカッションモードにするなど、アタック音を増やす調整をするのはかなり有効。

 

はい、ということで今回はいかに音量そのものを底上げせずにみんなに「聞こえる」状態にするかをご紹介いたしました。これは基本的にはバンドでの対策で、DTMだとイコライザ・パン・コンプレッサーなどをうまく活用していくようなケースが増えますが、DTMでも①③④あたりは重要だと思います。ということで、無駄に爆音バンドにならないためにも、いろいろ試してみてくださいね!