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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

バンドアレンジ実践編(3)24k magic / Bruno Mars

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きしり🇺🇸 (@kishirisoul) | Twitter

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はい皆さんこんにちは。今日はBruno Marsを取り上げたいと思います。Bruno Marsのことはほとんど解説不要だと思います。Just the Way You Areなどのヒット曲を出した後から徐々に自分のやりたい音楽を貫き始め、Unorthodox Jukeboxあたりからはやりたい音楽をやりたい放題やると言うスタイルになりました。それでもヒット連発してるのが素晴らしいところです。

さて、今日取り上げるのは24K Magicと言う曲です。まぁこの曲も説明不要でしょう。グラミー賞も取りましたし、様々な場所で耳にしましたね。

この曲は、一言で言えば1980年代のサウンドへのリスペクトです。とにかく曲の初めから終わりまで、80年代に流行ったサウンドがちりばめられています。おそらくキーボード奏者の皆さんは、こういうかっこいい音色がどうやって作られているのか、どのような楽器で演奏されているのかなど、気になることでしょう。ということで、今日は、この曲で使われているキーボードを中心に解説していきたいと思います。

オープニング

オープニングはロボットみたいな声で始まっていますが、これはトークボックスという楽器を使っています。そもそも、人間の歌声というのは、声帯で音を作り(ピッチはここで決まる)、作った音を口の形を変えて歌詞にしていますが、この声帯の役割をシンセにやらせるというのがトークボックスのコンセプトです。キーボードを特殊なアンプに繋いで、アンプの音が出る部分にチューブをつけます。そうするとチューブから音が出てくるので、それを口の中で反射させながら口の形を変えて言葉にし、マイクで拾います。まあ、ピンとこないと思うのでYouTubeで検索してみてください。笑 声帯を使わずに喋るというのはかなり高度な技術が必要で、トークボックスで実際に歌っているように聞こえるようになるまでには結構な訓練が必要です。

ちなみに、似たようなサウンドを得られるものにボコーダーと言うものがあります。似てるけど原理は全く違っていて、ボコーダーは人間の実際の歌声をシンセサイザーに取り込みます。で、取り込んだ人間の声のピッチを変えたりフィルターしたり、シンセサイザーの中でいろいろ加工してロボットみたいな声を作ります。ボコーダーはマイクに向かって歌うだけなのでトークボックスより簡単でいいんですが、ライブだとマイクに別の楽器の音が入ったりしてうまく使えない欠点があります。印象ですが、こういうロボットみたいな声を出すときにボコーダーを使っているプロのライブは見たことない気がします。(Earth, Wind & FireのBoogie Wonderlandのイントロはボコーダーかも)
イントロではトークボックスの裏の和音も、トークボックスを重ねて作っています。が、ライブでは再現不可能なので、後述のアナログポリフォニックシンセで対応するのが良いのではないでしょうか。そのままだとカッコ悪いので、オルガンの要領で、ボリュームペダルを駆使しながら弾いてみたら結構雰囲気出ると思います。

イントロ・Aメロ・サビ

さて、続いてイントロとAメロです。シンセブラスっぽい音でコードを弾いています。これはちょっと自信がないですが、多分OberheimかProphetというポリフォニックシンセサイザーじゃなかろうかと思います。当然ですが、アナログシンセです。キーボーディストの皆様がシンセやってみたいなーと何かの音源を聴いて思った場合、大抵においてその音はアナログシンセです。デジタルシンセは使いません。というのも、デジタルシンセはEDMやトランス、ハウスなど、クラブミュージックを作るときに使われるからです。バンドで使われるのは大抵アナログシンセ。これには理由があって、バンドのサウンドはドラムとベースが生楽器に近い音であることがほとんどなので、そういったサウンドと相性の良いシンセサイザーが選ばれます。それがアナログシンセというわけ。アナログシンセと言うとみんなすぐMoogばかりを連想しますが、Moogが実際に使われているケースと言うのはあまり多くありません。特に歌モノの場合。歌モノでもっとよく使われるのはポリフォニックシンセサイザーと言われるもので、複数の音を同時に出すことができるシンセです。Moogはモノフォニックシンセサイザーと言って、基本的に単音しか出すことができません。
お持ちのシンセサイザーでは、多分権利の関係で、これまた様々な名前で登録されています。Ob synthとか書いてありますので頑張って探しましょう。この音色はとても有名なので、多分聞けばすぐわかると思います。
高音で鳴っている単音は、多分ノコギリ波と呼ばれる音を使っています。これはお手持ちのキーボードでは、Saw Leadなどという名前でプリセットされていると思います。これはもうちょっと音をいじると、超凶悪なリードソロに使える音なので、今後のために覚えておきましょう。
Aメロは基本的にイントロと同じことを音量下げてやれば大丈夫です。本当は別の音色を使っているように聞こえますが、まあ気にしないでいいと思います。

Bメロ

Bメロはまたちょっと違うサウンドですよね。ですが、実はこれは多分Aメロと全く同じ音源を使っています。冒頭、こもった音がしていると思いますが、これはローパスフィルターというフィルターがかかっているからです。Low Pass、つまり低音だけ通すフィルターで、これを使うとこもった音になります。このフィルターをどこかのツマミにアサインして、そのツマミを回すとローパスフィルターのかかり具合が調整できるという感じです。このローパスフィルターというのはアナログシンセでは本当によく使いますので、絶対覚えておいた方がいいです。シンセをお持ちの場合、モジュレーションホイール(よく左の端についてる、ピッチベンドの隣にあるやつ)にアサインされていることが多いです。つまり、それぐらいリアルタイムで使うことが多いということです。
ちなみに、うねりっぽさが若干あるので、フランジャーが多少かかっていると思います。が、できたらでOKです。

Cメロ

ここも基本は同じ音色ですね。シンセブラスのローパスフィルターをいじりながら、ベストの音色を探しましょう。

番外編:ベース

歌モノではほとんど使ってないと言ったけど、使われています。笑 でも、キーボードじゃなくてベースですね。この曲はシンセベースですが、多分Moogなんじゃないかと思います。Moogは多分皆様知っているでしょう。歌モノの場合、キーボードとしての使用頻度は低いけど、ベースはある。でもここでもやはり、皆様はバンドマンなので、シンセベースの曲ってあんまりやらないよね。バンドで再現するときは割り切って生のベースでやらせるか、ベーシストが鍵盤弾けるなら、鍵盤でシンセベースを弾いてもらってもいいと思います。たまにライブでエレキベースとシンセベースを両方セットしてる人いますね。
Moogの本物は高いし、かと言ってベーシストに自分のシンセサイザーを貸すわけにもいかない、、、そんな場合は、Microkorgというシンセを購入するのもおすすめです。このシンセ、3万円ぐらいのくせによく使うシンセの音色はかなり網羅されていて良いです。問題は鍵盤数が少ないところですが、ベーシストにベースを弾かせるだけだったらこれぐらいで十分ですし、自分でゴリゴリ弾きたい場合は、MIDI接続で他の鍵盤で鳴らしてあげれば良いです。

 

はい!ということで、結構盛りだくさんになりました。。。疲れた。。。本来はバンドで曲を再現するのにどうするか?という観点で曲を解説するシリーズなのですが、今回はちょっと特別編で、原曲の音色に近づける方法を紹介しました。まあこの曲をバンドでやるなら、さすがに最低限上記で触れた部分ぐらいはカバーしなければあまりこの曲をやる意味もないと思ったのでね!ということで、読者諸氏の検討を祈る。