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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

バンドアレンジ実践編(2) ミックスナッツ / Official髭男dism

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きしり🇺🇸 (@kishirisoul) | Twitter

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はいこんにちは。今日は、Official髭男dismのミックスナッツと言う曲を解説していきたいと思います。

Official髭男dismはとても有名なので別に改めて僕が説明する必要はないと思いますが、ホーン隊、つまり管楽器を含めた大所帯バンドです。ですので、必ず曲にはホーンが入っています。

今回のミックスナッツと言う曲ですが、最近の若い人たちはこんな難しい曲をコピーしなきゃいけなくて大変だなというのが最初に聞いた感想です。笑  とは言え、せっかくなのでできる限り解説してみたいと思います。

まず全体的に言えることですが、テンポがものすごく早いです。というのもこの曲はジャズのビートがベースになって作られています。ジャズでは基本的にテンポはポップスの倍で取ります。イントロを聞くとベースがウォーキング(知らない人はググること!)していますが、あの1音1音が四分音符です。とても早いです。それでは、パート別にちょっと見ていきたいと思います。

ドラム:難

なんといっても最初に触れた方が良いのは、本来はキーボーディストの皆様を対象にしたブログなのですが、ここではドラムです。とにかく早いです。その上、サビのリズムパターンはスネアドラムがかなり変則的で、とても難しいと思います。コツですが、もし簡単にやりたいと思うのであれば、イントロなどの4ビートのパターンはとにかくライドシンバルは四分音符だけを叩くこと、2拍目と4拍目にハイハット(踏んで音を出す)を入れること、この2点を最優先に考えてアレンジをしてみてください。例えばシンバルのレガートだと8分のシャッフルなど入れたくなります。またジャズのドラムのパターンなどでYouTubeで検索すると、スネアドラムのゴーストノートなんかがたくさん入っている例があると思いますが、今回はとにかく早いので、そういうおまけ的な要素は一旦排除して考えましょう。

サビは複雑なリズムパターンで一瞬戸惑うかもしれません。ただ、よく聞いてみると基本のグルーブはシンプルなエイトビートに近いと思います。ですのでシンプルなエイトビートを基本に、細かいスネアドラムをちょっと足して試行錯誤してみるのが良いかなと思います。最初から闇雲にこのスネアドラムのパターンをコピーしようと考えると、ビート全体が崩れてしまうので、気をつけましょう。

ピアノ:やや難

次はピアノです。ピアノは、基本的にはオーソドックスなジャズピアノを踏襲しています。いわゆるビッグバンドジャズと呼ばれる、10人以上の大人数で演奏されるジャズなどでは、このようなピアノがよく出てきます。トリオやカルテットのような小さい編成のピアノもこんな感じですが。一方で、あくまでこの曲はポップスなので、使っているコードはジャズではなくポップスのものです。具体的に言えば、代理コードやアッパーストラクチャートライアド(分からなければググ略)などは使っていません。

ピアノのコードについては実はそんなに特筆すべき事はありません。とにかくリズム感に気をつけることが大事です。ベードラの合いの手のような弾き方になるので、リズムパターンはトリッキーです。パターンは完全コピーする必要はありません。テキトーに、8分裏とかに入れましょう。でもテンポが早いのでテキトーに弾くと強拍の位置が分からなくなるので、ちゃんとメトロノームで練習しましょう。

ベース:難

最後にベースです。ポップスをやっている皆様にとって、ウォーキングベースは最もハードルが高いベースパターンの1つだと思います。しかもこの曲はものすごく早いので、超高速ウォーキングベースになっています。

コード進行だけを見て、この曲のウォーキングベースのフレーズがすぐに思いつく人がいたら、さっさとジャズミュージシャンに転向したほうがいいと思います。正直、かなりレベルが高いので個人的には完コピすることをお勧めします。完コピと言うとめんどくさいなぁとか、時間がかかる、などのご意見があるかと思います。一方で、自分で耳を使ってコピーすると、なぜこのコードに対してこのウォーキングパターンなのかというのがよく理解できます。私も学生時代300曲位の曲を耳コピしました。それだけの曲数をこなす必要があるかは分かりませんが、少なくとも耳コピをたくさんすることで耳が良くなったのは明確な事実です。

その他

ボーカルの音が高い!!ヒゲダンはというか、最近のポップスは洋楽も邦楽もみんな高い音を多用します。みんながボイトレの重要性に気づき、歌も訓練で良くなるということが広く知られるようになってから、この傾向が強くなってきたような気がします。なので、ボイトレをすれば基本的に出せる音域だとおもうのですが、まあ難しいケースもあると思います。その場合は遠慮なくキーを下げましょう。ボーカルの人はカラオケ屋でも行ってきて、キーを上げ下げしながらどのキーが一番しっくりくるか確認し、みんなに伝えることが重要です。歌ものバンドなので、原曲のキーに関わらず、ボーカルが最もかっこよく聞こえるキーがベストのキーです。
ただ、ボーカルはこの作業を選曲が決まったら即やりましょう。というのも、ピアノやベースは途中でキーが変わるとほぼ全部準備をやり直しになるからです。この曲は特にベースですね。高速ウォーキングベースを完コピして練習に臨んでボーカルが半音下げろと言ってきた日には、相当なダメージが残ります。このキー問題については奥が深いのでそのうちまとめます。楽器はその場でキーチェンジに対応できた方が演奏の機会が飛躍的に増大するし、ライブごとの準備の時間も激減するので長期的には対応できるようになった方が良いのですが、まだ経験年数の浅い読者様には酷だと思うので、早めのコミュニケーションで対策するようにしてみてください。

 

ということで、今回はOfficial髭男dismのミックスナッツと言う曲の解説をしてみました。この曲はかなりチャレンジングだと思います。なので、正直他の曲に変えるのもありだと思います。笑 それでもどうしてもチャレンジしてみたい、と言う勇敢な読者の皆様がいらっしゃれば、コピーすること自体は必ずや皆様の力になっていくと思います。それでは頑張ってください。