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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

初めてバンドでキーボードをはじめるあなたに (2)耳コピの仕方とあると便利な機材

Twitter始めました!ブログ更新のほか、おすすめ音源も紹介してます。

きしり🇺🇸 (@kishirisoul) | Twitter

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またしても大分あいてしまいました。
初心者キーボーディストの苦労を少しでも和らげるシリーズその(2)です。今日は耳コピのやり方と、耳コピに必要な機材(アプリ?)を紹介しましょう。

耳コピってどうやるの?

ここでは、歌モノのバンドのキーボーディストが「曲のコードと象徴的なフレーズを拾う」ことができたら耳コピ完了としたいと思います。だいたいのキーボーディストであれば、フレーズ(=単音もしくは2和音)は簡単に拾うことができると思います。難しいのは和音だと思います。ということで、フレーズのコピーはここではやりません(笑)
和音を取るのも、一つずつ取っていたらアホらしいので、理論を使ってうまいことラクして取っていきましょう。

といっても、実は以前のエントリで耳コピのやり方書いたんですよ。


耳コピのすすめ(その1) - so far


耳コピのすすめ(その2) - so far

コードとキーに関する知識はおおむね分かっている前提で書いているので、ちょっと難しいかもしれません。

耳コピは、率直に言ってかなり難しいです。和音を取らなきゃいけないワケですから。音源を本気で聞いても聞き取れないことはあります。プロでもあるんじゃないでしょうか。でも、楽譜を持っていないあんな曲のコードを自分でコピーできたら・・・と思うことってたくさんあると思います。そんなときのために是非ともチャレンジしてみてくださいね。

ということで、今日は、耳コピそのものよりも、必要なものの紹介をします。

耳コピに必要なもの:

  1. 根気
    残念ながら、これが一番重要です。慣れればそんなに時間はかかりませんが、それまではかなりタフな作業です。「明日は10時から練習だ。もう夜中の2時なのに全体的に自信ないなあ・・・でもまあここまででいいか・・・」となりがちですが、どこまでふんばってやれるかが勝負です。よーーーーーーく聞くことで聞こえてくることもあります。妥協せず最後まで粘り続けることが重要です。特に最初は。これで楽譜ができた時の達成感たらないですよ。
  2. 音源とプレーヤー
    ないと話にならない。プレーヤーについては、私はこのアプリ使っています。
    mimiCopy  - 耳コピ専用プレーヤー

    mimiCopy - 耳コピ専用プレーヤー

    • ART Teknika Inc.
    • ミュージック
    • ¥600

     他にもいろいろありますが、A-Bリピートがあること、テンポの調整ができることが条件です。最悪A-Bリピートだけでもいいけど。あとは早送り/巻戻しがやりやすいことが重要ですね。本当に分からないところは、0.5秒ぐらいをA-Bリピートで繰り返し続け、なんとか音取りしてます。こればっかりは、大変だけど頑張るのみ。

  3. 楽譜
    私は、見開きA3サイズで、5線の色が薄めで(筆圧低いから)、リング式のノートを使っています。

    まあこれはさすがになんでもいいと思います。ただ、楽譜(コード)はちゃんと書きましょう。取った音をコードまで抽象化するクセをつけておくと、後々すごくよかったと思うはずです。例えば、ジャムセッションに参加した時に、ボーカルの人から「これがやりたいんです」とか言って全然知らない曲の譜面を渡されることがあるんです。こんな時に、普段から楽譜を書いておくと、一瞬でセッションに参加できますよ。これ、めちゃくちゃ楽しいですよ!

  4. 楽器
    楽器はなんでもいいです。正直言って。ただ、音源を聞きながら音をだすので、音源と楽器、両方の音を同時に聞ける環境を作らなきゃダメです。僕は長い間、音源はiPhone付属のイヤホンを使って、その上からヘッドフォンを装着してピアノの音を聞いてました。ただこれ、ヘッドフォンの形状によってはiPhoneのイヤホンが耳の奥に押し込まれるため、しばらくやってると耳周りの軟骨がめちゃくちゃ痛くなります。笑 現実的なラインは以下のあたりでしょうか。
    ①小さなミキサーを用意する
    DAWのセット(DAWソフトウェアとオーディオI/F)を用意する
    シンセサイザーをミキサとして使う
    持ってるものをなんとかして使いましょう。ちなみに、③については、Yamaha MotifシリーズであればPatternモード中にInputに音源つなげばいけます。Nordシリーズは、ヘッドフォンジャックの横に音源用の端子があるから、それを使えばいけます。①番は不要なように見えますが、将来的に複数のキーボードを同時に扱いたくなった時に、ライブ会場でこちらで小さいミキサーを用意しておくと便利です。なにより会場のPAチャンネルを鍵盤で独占しちゃうリスクが避けられます(鍵盤はLRがあるから、3台持ち込んだら最悪6チャンネル使うので!!)

繰り返しになりますが、なれないうちは耳コピは相当大変な作業です。私はかれこれ10年ぐらいやっていますが、最初は1曲1時間かけても取れないことはザラでした。巻戻しやA-Bリピートなど、ちょっとした工夫で大幅な時間短縮になりますし、なにより心が折れにくくなります。根気よくやりましょう。千里の道も一歩から。では幸運を祈る!!!この曲のこのコードが知りたい!とかあったら相談してくださいね。

 

 

 

夏の食事

はてなブログって、投稿画面にお題例があるんです。「これをネタにブログ更新しろや、暇人が」ということです。今回のお題は、夏の食事。

 

ばかやろおおおおお年中コンビニだっつーーーーーの!!!!!!!

 

ということで、全く夏らしい食事はないので、本題に入ります。
今6人ぐらいのチームを任せてもらっているんですが、本当に難しい。結局チーム員は自分のことしか考えやがらねえ。
うちのチームでは一人退職による欠員が出て、チームで持っている仕事が宙に浮いちゃってるんですよ。ちょうど都合よく、結構時間が余ってそうなチーム員がいたからお願いしてみた。

ぼく「この案件担当してくれないかな?他の人は結構忙しくて」
チーム員「細々した仕事多いって聞いたからむりです。外出多いし」
ぼく「えっ」
ぼく「じゃあさ、細かい仕事はチームで分担してやr
チーム員「無理です」

という驚きの展開。こいつが別チームの年上に追い詰められていた時は、2層上の上司にまでレポート上げたりして対応してきたのに!!!
なんつーか、ウチの会社ってチームでなんとかしていこうっていう意識が低すぎる。自分の仕事は責任持ってやるんだけど、隣の人の仕事の話になると完全に無関心。いくら俺が地獄を見ながら必死で対応していても、全くお構いなしで19時退社(フレックスなのでほぼ定時)。特にプロパーとか社歴が長い人がそういう傾向。完全に悪しき社風。
チームでやることのよさって、死にそうな時に助け合うことができるってことだと思うんですよね。誰かが死にそうな時には、そいつ一人が徹夜するんじゃなくて、みんなで終電までやって終わりにするとか。別のやつがトラブルに見舞われても同じく。どんな仕事でも波ってあるとおもうんだよね。ウチの会社は、波が高い時期が仕事によって違うから、そうやって助けあっていけば残業なんてどんどん減ると思うんだよね。今年、そういうチームにしたいと思っていろんなチーム員のトラブルを解決して回ってるんです。トラブル時に助けられた経験を通じて、トラブル時に手を貸し合うことの大事さを身にしみて理解してもらおうと思ったんだけど、この一件で、そんな思惑は全然うまくいっていないことがよくわかった。まるで爬虫類の飼い主になったかのような気分だ。

難しいのは、そのチーム員も40時間ぐらい残業してるということである。ウチの会社の常識で言えば圧倒的に少ない方だけど、40時間やってる人に新しい仕事をムリヤリやらせるのはちょっとしんどいなあ。人増やしてもらうしかないかなあ、、、

 

 

独身生活

さて僕の独身生活が始まった。正確には4月末から始まっているけど。
ワーカホリックな僕はGW前の追い込みで毎日タクシー帰りだったので、平日は大して気にせず過ごせましたが、問題は休日。本当にヒマ。まあ好きな時間に起きたり、好きな時間にメシを食ったり、気楽といえば気楽なんだけど、本当に予定がない。ヒマ。

でも久しぶりに11時まで寝たわ。やっぱり、妻が早起きだからどうしても一緒に起きちゃってたんだよね。これまでは。一人で寝たら起こされないから朝寝坊できるなと思ったけど、もはや昼。まだ意外と家事はやっている。ここは驚きである。

さようなら僕の新婚生活

僕の新婚生活が終わりを告げようとしている。

昨日、妻から、海外転勤がほぼ確定したと告げられた。妻は以前から海外で働きたいと言っていたし、それについては僕も応援していた。また、2ヶ月ぐらい前から妻が勤務先の現法の面接を受けていることを知っていた。
正直言って受からないと思っていた。妻は僕と同じぐらいしか英語ができないし、筆記も散々なものだったと言っていたからだ。でも、うちの妻は面接受けがとてもよかった。僕も忘れていたが、就職活動の時は数社しか受けず、しかも全部受かっていた。できる妻だったのである。

話を切り出された時、僕は行ってこいと言った。僕も海外で働きたいと思ってるから、逆の立場だったらこんなところで足止めされたくない、と思うからだ。その一方で、毎日一人の生活を続けられる確信はない。仕事が大変だったら逃げ場がないかもしれない(仕事が大変なときはいつも妻に話し、励ましてもらっていた)。

また、何よりの問題が週末である。周りの友人はいよいよ身を固め始め、そろそろ子供を作る時期なのかもしれない。実際、こないだ友人に子供ができた。今でこそ友人とバンドを楽しくやっているが、それもできなくなる可能性が高い。彼らがいなくなった跡、果たして、僕はどうやって週末をエンジョイすればいいのだろうか?

まあとりあえずやってみるしかないな・・・金遣い荒くなりそうだ・・・

 

 

 

 

 

初めてバンドでキーボードをはじめるあなたに (1)キーボードでカバーすべき音色

さてさて、あっという間に時間が経過していました。すいません。前回お話ししましたように、初めてバンドでキーボードを始める方向けに、バンドで必要となるキーボードのノウハウをできるかぎり網羅的に書き綴りたいと思っています。

今回は本編その1ですね。キーボードでカバーすべき音色、です。これは最初のトピックの割にはなかなか難しいです。というのも、キーボードでカバーすべき音色は、基本的な編成(ボーカルギター鍵盤ベースドラム)の場合、他の4パートが出さない音全て、キーボードでカバーすべきと周囲に認識されているからです。何も考えずに練習に行くとこうなります。
ボーカル「じゃあ今日は、先週決めた通り、MISIAのEverythingを演奏しよう」
ドラム「じゃあいきまーす、1234」
「・・・・」
ギター「あれ、鍵盤でイントロのストリングスやらないの?」
ベース「間奏のストリングスやってほしいんだけど」

どんな曲やったとしてもこうなります。多分。この音を出せとかこのパートをやってほしいとか、いろいろリクエストがあります。で、実際に頑張れば大抵の音色は再現できます。シンセサイザーは優秀ですからね。でも、最近の曲のほとんどは多重録音がなされていて、キーボード1本で全てのリクエストを同時に対応することは不可能です。じゃあどうするか?答えは、曲をどのように再現するか、キーボーディストがはっきり表明することです。
そうすると、例えばさっきの会話の答えはこうなります。
「キーボード1本でこの曲の壮大さを再現するのは無理だから、いっそピアノ1本にしてアコースティックにやる方がいいと思う。バンドだし。」
要するに、バンドでキーボードをやるということは(特にキーボードが1人の場合)、曲をライブ用に編曲するのとほとんど同じ作業と考えていいです。
例えば、この曲。MISIAの「眠れぬ夜は君のせい」という曲です。上が原曲で下がライブのアレンジです。ライブの方ではイントロのハープやストリングスはすべて省略し、ピアノ(ウーリッツァー)1本で弾いていますね。ハープやストリングスを中途半端に再現するよりは、キーボードで演奏しやすい音色(ここではウーリッツァー)に専念しようという考え方だと思います。念のため言っておきますが、キーボードはだいたいどんな音でも出ますが、一番得意なのは鍵盤楽器です。ストリングスはバイオリン奏者にやらせた方が絶対いいに決まってますし、ハープはハープ奏者にやらせた方がいいです。(途中からストリングスが入っていますが、これは別の人が弾いてます)


MISIA - 眠れぬ夜は君のせい - YouTube


MISIA - 眠れぬ夜は君のせい - Hoshizora no Live Ⅱ - YouTube


もうひとつぐらい例を出しましょう。これはSkoop On Somebodyama-otoという曲ですが、この人達ボーカル・ドラム・鍵盤の3人バンドなんです。ライブでは基本的にはサポートのミュージシャンを使っていますが、たまに3人でやりたくなるらしく、3人で演奏する用に曲を編曲しています。これも参考になると思います。原曲はエレピ(フェンダーローズ)とストリングスですが、3人だとギターとベースがいないので、ピアノ1本にして、イントロは左手でベース、右手でアコギのパートを弾いてますね。


Skoop On Somebody-ama-oto - YouTube


Skoop On Somebody--ama-oto(CLUB S.O.S version ...

 

ここまででだいぶ分かったと思いますが、スタジオ版(CDなど)とライブ版はほとんど別物です。いろんなアーティストのライブ動画を見るとわかると思いますが、ライブではライブ用に大幅なアレンジ(編曲)が行われていることも多いです(むしろ全くアレンジしていないことはほぼゼロです。もし見つけたら、それは裏でCD流してるだけです)。
ということで、話を戻すと、どういうキーボードパートを弾けばライブならではのサウンドを出せるか、という切り口で自分のパートを考える必要があります。
でもそんなこと言ってもちっとも分かんないすよね。ということで、ここではライブでキーボーディストに優先的に選ばれる音色を列挙していきます。ライブの中でキーボードに最も求められるのはリズムとハーモニーです。なので、必然的に音色はある程度決まっていきます。

■最優先(鍵盤系)

これぞ!というかんじですね。王道です。 だいたいキーボードが必要そうなバンドでは、このどれかが入っています。リズムとハーモニーの観点からも超重要なパートなので、最優先でこれらの音色を検討しましょう。


 

■まあまあ優先

  • ストリングス
  • パッド系

 雰囲気出すのに結構重要です。ただ、注意すべきは、CDではよく聞こえるけどライブではあまりよく聞こえないということです。プロの音源でも、ライブ版を聞くと、ストリングスが省略されていることはあります。CDのサウンドを再現したいバンドメンバーとかがストリングスをやれと言ってくることがありますが、無茶な要求である可能性も高いです。Youtubeでコピーする曲のライブ版なんかを聞いて、やれるかやれないかを判断しましょう。
もしくは、折衷案もありです。例えばピアノとストリングスが鳴っているのであれば、ストリングスがよく聞こえるところだけはピアノとストリングスをやって、そこ以外はピアノ1本でいくとか、ピアノにパッドを重ねてストリングスの雰囲気を代用するとか、そういうことも考えましょう。

さて、長くなりましたが、今回はバンドで曲をコピーする時にキーボーディストがどんなことを考えて自分の演奏パートを決めるのかをお話ししてきました。ただし、敢えて今回は全てバッキングとしてのキーボードに限定して話しています。 

 もちろん、バンドのフロントマンとして、独創的なソロを展開させながら引っ張っていければ一番かっこいいです。でも、世の中の多くの音楽にはキーボードの伴奏がつきもので、これができることになることで、演奏のチャンスは飛躍的に増加します。プロのLIVE映像をYouTubeで探して研究しましょう。


次回はいよいよ耳コピのやり方をお話ししたいと思います。



初めてバンドでキーボードをはじめるあなたに (0)連載にあたって

さてさて、こんなシリーズを始めようと思います。これは完全に体験の再整理ですね。
初めてキーボードを始める人が、どんなことを考えて、どんな風に練習を進めていけばいいのかについて、自分の体験をもとに語っていこうというシリーズです。
前からこのシリーズはやりたいと思っていました。というのも、バンドのキーボードって何やってるかよく分かんないすよね。そもそもピアノとストリングスとオルガン以外何を担当するか分からない(ひょっとしたらピアノしか分からないかもしれない)。
しかもいきなり耳コピしろとか言われた日には大変で、そもそもクラシックのピアノしかやったことないのに、いきなりこんなバンドの曲を、しかも楽譜なしでやれと!!?という状況になるでしょう。僕もそうでした。
キーボードが大変な理由の一つは、バンドマンというカテゴリの中でマイナーな存在なため、キーボードに関する情報へのアクセスが非常に難しい、というところでしょう。ジャズについて書かれた本はめちゃくちゃいっぱいあるのに、キーボードって少ない。あったとしても、ソロフレーズについての練習本とか、そういうの。もちろんそういう本に書かれていることはかなり大事なことが多いんですが、でもまずやらなきゃいけないのは目の前の曲の楽譜を書いてしかるべき音色を使って再現することであって、ソロフレーズについては後々やりたい、ということは多いと思います。
特に歌モノのバンドの人なんかそうですよね。ボーカルがいきなり「MISIAのEverythingと東京事変群青日和をやりたいです」と言ったとしたら、必要なのはソロフレーズ集ではないはずですね。

ということで、この連載では、読者ペルソナを以下に設定して、必要な知識やノウハウを出来る限り包括的に書いていきたいと思います:

  • これまでクラシックのピアノはやってきた。
    →とりあえず指は動くけど、譜面通りのことしかできない。
  • 大学に入学してサークルでキーボードをやることになった。
    →バンドに興味があってバンドサークルを覗いたら、キーボードを勧められた。キーボードはあんましよく分からないけど、ピアノやってたなら大丈夫だと言われたから始めてみることにした。
  • サークルでは基本的にJ-Popを中心にやっている。
  • バンドでは、コピーをやるが、楽譜は基本的に用意されない。
    耳コピしなきゃいけない。

ということで、次回からモリモリ説明していこうと思います。以下のようなかんじで書いていこうと思います。

  1. キーボードでカバーすべき音色
  2. 耳コピのしかたとあると便利な機材
  3. コード理論のはじめかた
  4. タイプ別楽器の選び方と周辺機器
  5. 初回練からライブまでの進め方

 てなかんじで進めようと思います。お楽しみに!!! 

キャビンアテンダントから見る顧客視点

だいぶカタいタイトルで始まってしまいました。

さて、既に投稿しているように、こないだインドへ行ってきたわけですが、飛行機の中でインド人乗客と日本人CAとのコミュニケーションがいろいろと考えさせられました。

インドってめちゃくちゃベジタリアンが多いんです。当然ながら機内食にはベジタリアン向けのメニューが用意されていますね。で、CAは食事をサーブする前に、特別メニューを注文した人全員に「あなたはベジタリアンのメニューをオーダーしましたよね」と確認するわけです。
しかし、その確認がインド人に通じないんです。全くと言っていいほど。僕は通路側に座っていて、隣(窓際)にインド人のおばあちゃんがいたのですが、CAが何度確認しても言葉が通じないんです。最終的にCAは諦めて機内食サーブし始めました。おばあちゃんはこれがベジなのかノンベジなのか分からず戸惑っていましたが、ここでイケメンの僕が地球の歩き方のページを必死に繰り、「野菜だから大丈夫だ」と教え、おばあちゃんはようやく食べ始めることができました。

このケースには顧客視点の大切さと難しさが凝縮されているように思えました。
特別食をオーダーしたことの確認は、日本では当たり前のことのように思えます。取り違えたら大変ですからね。でもインドでそんなきめ細やかなサービスが行われてるわけないです。笑 つまり、おばあちゃんはそんな質問が飛んでくることは全く想定できなかったと思います。
加えて言語の壁がありました。インドでは英語が公用語ですが、基本的には普段の仕事で使う以上の語彙は持っていないように思えます。そんな状況なので、おばあちゃんは質問内容を類推することもできず、(CAの英語の発音が壊滅的だったことも手伝って、)意味が分からなかった、ということでしょう。

それでは、CAの対応が悪かったかと言うと、全くそんなことありませんでした。そもそも、わざわざ特別メニューの確認を取ること自体がすごいし、何度も何度も一生懸命伝えようとしていたあたり、あのCAは頑張って仕事してるよなあ・・・と思えます。

問題なのは、世界中で画一的なサービスを提供することなんじゃないかと思いました。日本人であれば、わざわざ確認に来てくれると気持ちがいいですよね(個人的には過度なサービスには疑問があるのですが、その話は今度)。でも今回の件は、ベジタリアンが多そうな全ての国の言語で「ベジタリアン用」と書いた紙を、機内食をサーブするときに食事に一枚挟んでおけば解決する話でした。それがたとえ無造作であっても、「目の前の食事に肉が入っているのかどうか」がハッキリ分かる方が、インド人のおばあちゃんにとってはいいサービスなんだと思います。

じゃあそれってどうやって解決すべきでしょうか?(日本の航空会社だったので)日本の本社にいるCA用のマニュアルを作っている担当者に「インド便では、英語が通じないベジタリアン用に、それだと分かる紙を挟むようにマニュアル追記しろ」とでも言うべきでしょうか?それではあまりに対症療法的ですよね。個人的には、この件のキモは、各国の地上で行われているサービスレベルを航空会社が理解できていない(か、する気がないか、分かっているけど無視しているか、分かっているけどしがらみが多くて改善できていない)、という点だと思います。どの国ではどのようなサービスが一般的で、そういう人たちが思う「一流のサービス」が何なのか、考える必要があると思います。それは日本人の視点で考える一流のサービスとはちょっと違うかもしれませんが。例えば、東南アジアでの一流のもてなしは冷房を強めに効かせること、なんかはいい例で、日本とはちょっと違いますよね。
各国の人たちが考える一流のサービスを知るためには、各国に行かなきゃダメです。でも現実的に日本のHQが全世界の各国のサービスレベルを理解することは不可能だと思いますし、それを全部マニュアルに盛り込んだらCA業務が崩壊しそうな気がします。と考えると、消去法的に、CAの裁量を増やしてあげるのが一番いいような気がします。彼らは世界中を飛び回っていて、(人によっては空港の周囲だけかもしれないけど)各国の人が普段どんなサービスを受けているのか分かっているでしょうしね。

こうやって考えると顧客視点てほんと難しいですねえ。値段を下げてパッケージ化したサービスを売っている以上、サービスは画一的になりがちだけど、乗客の出身国から類推される価値観に合ったサービスを提供すべき場面があるわけです。この矛盾を解決するのは、CAの臨機応変さなような気がしますね。CAも、そっちの方が仕事楽しいと思うし、もっとCA自身が考えるサービスのあり方みたいなものを現場に反映できるような仕組みがあればいいのにな、と思います。