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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

メキシコ出張記

 様々な人に脅されながら始まったメキシコ出張だったが、幸いにも、まったく何事もなく最終日を迎えていた。すっかり慣れっこのUberを使いこなし、颯爽とケレタロ空港(メキシコ)に到着、到着ロビーと出発ロビーを間違えながらも無事セキュリティゲート通過。そういえばバタバタしていてお土産を買えなかった。とりあえずいいテキーラを、と思い立ってDon Julioを購入。出発時刻を多少超過したものの、無事僕を乗せた飛行機はダラスに向かって飛び立った。

 機内で最後のシエスタを楽しみ、いよいよ到着予定時刻が近づいてくる。すると、突然のアナウンス。

 「出発ちょっと遅れたらダラスの上空が非常に混雑する時間に到着することになってしまいました。しかも今全然燃料載せてなくて上空を旋回できないからサンアントニオ空港に降りて給油します」

 突然のことにややざわつく機内。しかし僕は4時間も乗り継ぎ時間を見ていたから余裕である。全く動じない。給油してすぐ発車するならそんなに時間かからないだろう。ちょっと時間が厳しくなったが、まあ問題ないだろう。そう思って給油完了を待った。

 しばらく待った。だいぶ待った。全く完了しない。「あと20分で終わります」というアナウンス。いや、20分前にもあと20分て言ったような。。。結局飛んだのはサンアントニオ到着後、なんと1.5時間後。ダラス到着時には僕の飛行機は搭乗完了していた。

 実は翌日正午、日本へのフライトを予定していた。遅くとも朝10時までには必ずシカゴについていなければならない。現在20:30@ダラス。22:25のダラス発シカゴ行き最終便に振り替えできないと、日本行きの当日にシカゴに着くことになる。こんなこともあろうかと空港に停めた車には日本行きのスーツケースを用意してあったが、シカゴ着の飛行機がちょっとでも遅れたらアウトである。なんとしても今日中にシカゴに着きたい。

 しかし、ダラスでのアメリカ入国には様々なハードルがある。まず、ダラスはメキシコ便の玄関口であり、メキシコ人の入国希望者が多い。ただでさえ他の空港より時間がかかるのに、トランプ政権になってからますます時間を食う。平気で2時間待たされることもある。また、僕のビザには表示上のちょっとした問題があった。もちろんデータ上は何ら問題ないのだが、パスポートに貼り付けられているビザは有効期限が切れているように見えてしまう。入国の最終的な可否判断は入国管理官に委ねられるため、もめることが多い。つまり僕は、ダラス空港でこの2時間の間に、メキシコ人と共に入国審査に並び、パスポート上の表示不具合を入国管理官に説明し、22:25のフライトに振り替えてもらわないと、同日中にシカゴに到着することは絶望的である。この中の一つでもスタックしたら翌朝発となり、大きなリスクを負うことになる。

 ということを考えながら、ダラスの入国審査に到着。すると、めちゃくちゃ空いているではないか!!!!どうやら、ビザ保有者は別のレーンが使えるようになっているようだった(奇跡①)。続いて、意を決して入国管理官にアタック。涼しい顔をしてパスポートを渡すと、やはりパスポートを突っ込まれる。

 「これ、期限切れてるわよ」

 「いや、これは表示だけの問題で、データ上は問題ないと弁護士から聞いてます」

 「私は弁護士ではなくあなたに喋ってるんだけど」

 早速洗礼を受ける。そういえば、もう10年近く前になるが、シカゴでの入国でウソがバレて大変な思いをした。でもあの時に比べれば今回は会社の後ろ盾もあるし、気持ち的に余裕がある。あらかじめ用意してあった書類を出し、「ほら、オッケー出てますよ」と応酬。すると、よくわからないが「今回はOKしてあげるわ」ということで無事通過!(奇跡②)信じられないことがあるものだ。半分ダラス泊を覚悟していたが、だいぶ光が見えてきた。最後は飛行機の振り替えだ。これも、あらかじめ「おたくのフライトが遅れたから振り替えてくれと言っているんじゃないか!」とか、「俺は宿泊費を負担する気は全くない。床で寝ろというのか?」とか、思いつく限りの状況に応じた返しの文句を考えていた。半分血眼になってカウンターに詰め寄る。

 「ダラス行きの飛行機が遅れちゃったから、最終便に振り替えてくれませんか?」

 「OKよ。席あるから問題ないわね。はい、これチケット」

 なんとも拍子抜けだが、無事振り替えのチケットもゲット(奇跡③)。奇跡が3つも重なって、なんとか今日のうちにシカゴに帰れる。本当に助かった・・・

 ということで、いろんなアクシデントに見舞われながらも、奇跡が重なってなんとか帰ることができた(が、結局また飛行機が遅れて着陸がAM1:00、家に着いた時には2:00を回っていた。この原稿は日本行きのフライトの中で書いている。さすがに疲れた。それではまた次回)。

(2時間、2000文字)