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駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

初めてキーボードをはじめるあなたに(8)音量ちゃんと気にしてますか?

はい、今日は音量の話です。デカすぎるか全く聞こえないか。キーボードってだいたいどっちかだと思います。ボリューム上げるとうるさいし、下げると全然聞こえないし。。。これってどうなってんねん!!!ということで、今回は、キーボードの音量について考えてみたいと思います。

音量ってなんでっしゃろ

これ、実は超深い問題なんです。物理的に言えば、デシベルで表される量の多寡なんだけど、バンドで言う音量というのは、それだけではないのです。例えば、ドラムがうるさいからキーボードの音が聞こえないと言ってキーボードの音量を上げると、今度はギターが聞こえなくなる。だからギターが音量を上げる。そうするとボーカルが聞こえなくなるからボーカルはもっと上げる。そうするとまたキーボードは聞こえなくなるから音量を上げる。。。ボーカルはもっと上げたいけど、これ以上ボリュームあげるとハウるから諦める。結果、楽器のせいで歌が全然聞こえないバンドが出来上がる。こうなると最悪ですね。でも、初めてのバンド活動はだいたいこうなります。
音量というのは、シンプルにいえば使っているスピーカーのサイズ(と部屋のサイズとドラマーの音量)で上限が決まります。つまり、いろんな楽器をどんどん上げまくると限界がきます。では例えばキーボードが聞こえにくいときはどうすればいいんでしょうか?矛盾するようですが、「音量を上げずに聞こえるようにする」必要があります。そんな方法あるんかいな!?ええ、あるんです。ですからこのブログがなんとかやっていけてるんですよ。笑

音量を上げずに聞こえるようにする方法は、以下にまとめられると思います。

  1. ダイナミクス(ベロシティとボリュームペダル)
  2. スピーカーの向き
  3. イコライジング
  4. アタック音の調整

ダイナミクス

いきなり音量ぽいやつから始まってるじゃねえか!というツッコミは無しで。笑 一応知らない方のために、ダイナミクスというのは音の強弱のことです。ピアノなんかはこれがとてもつけやすい。タッチの強さでかなりのレンジを表現できるからね。逆に、オルガンなんかは音量が一定だから、ボリュームペダルで調整しなければならない。
キーボードが聞こえない、というのは特徴的なフレーズなどが聞こえない場合にメンバーから発せられることが多い言葉です。つまり、そこだけちゃんと聞こえるようにダイナミクスをつけてあげれば、解決します。超シンプルなんだけど、これが一番有効なんじゃなかろうか。よくあるのは、例えば1サビでボーカルの裏でストリングスを弾いてて、直後の間奏ではストリングスでメインメロディを弾くケース。サビでは抑え気味に弾いて、間奏ではボリュームを上げると、欲しい時だけ前に出てくるのでとても良い。
ちなみに、特にピアノ出身者に言えますが、総じて鍵盤のタッチが強すぎて、マックスの音量が出ていることが多いです。ピアノ鍵盤のキーボードはともかく、読者様が持ち運んでいるキーボードは基本的にはもっと軽い鍵盤だと思います。この鍵盤は、ピアノと同じノリで弾いちゃダメです。相当に軽いタッチで弾いてください。実はこれが相当難しく、この軽い鍵盤で軽いタッチで音量を揃え、かつリズムも一定に保つ、というのはそれなりに訓練が必要です。ただ、それでもタッチでダイナミクスをつけるのが最も自然かつ簡単なので、これは頑張って習得しましょう。少なくとも、Aメロとラスサビとかで同じダイナミクスで弾いてるようだとダメです。

②スピーカーの向き

これ、めちゃくちゃ重要。自分のスピーカーが他の人に向いていると、聞こえないから無意識にボリューム上げがち。そうすると無用にキーボードのボリュームが上がって全体的にうるさくなります。なので、自分の音がきちんと聞こえるようにスピーカーを向けることは非常に重要。同時に、他のメンバーのスピーカーの向きも要チェック。例えば、ギタリストがギターアンプを床に置いてその目の前に立って弾いている場合、ギターの音はギタリストの足をすり抜けてみんなに届きます。これだとギタリストには聞こえないので、高さを調整する・アンプを傾けるなど、いろいろ調整してもらいましょう。

イコライジング

一般的に、キーボードの音域は中音域で、ここにはいろんな音があります。ギターやホーン隊、コーラス、その他楽器・・・様々な楽器がこのレンジで音を鳴らします。つまり、ゴチャゴチャしやすいというわけです。
そこで試して欲しいのが、EQ(イコライジング)です。基本的に中音域でぶつかりやすい、ということが理解できたら、イコライジングで中音域を下げて、高音域をちょっと持ち上げると、スッキリしやすいということがわかってくれると思います。ただし、問題は生音っぽさは途端に減るということ。例えばピアノなんか、中音域がいかに豊かかで各社が凌ぎを削っているようなもんだから、EQで中音域をカットすると間違いなく寂しい感じになります。単体で聴いたらね。でも今回はバックバンドなので、あまりきにする必要はありません。それよりむしろ、他のサウンドとちゃんと混じって聞こえるか?が重要です。

④アタック音の調整

これは③のイコライジングに近い。音の成分は(ざっくり分けると)最初のアタックとその後の減衰に分けられます。例えばストリングスは立ち上がりが遅いのでアタックが少なめ。一方ピアノはアタック多め。オルガンは常に一定(パーカッションモードを除く)。「聞こえない!」と言われる場合、アタック音があれば「聞こえる」状態になるケースはたくさんあります。アタック音の量は、シンセサイザー上でエディット可能なケースが結構あるので、ストリングスが埋もれているなと思ったらアタックを多めにしてみる、オルガンならパーカッションモードにするなど、アタック音を増やす調整をするのはかなり有効。

 

はい、ということで今回はいかに音量そのものを底上げせずにみんなに「聞こえる」状態にするかをご紹介いたしました。これは基本的にはバンドでの対策で、DTMだとイコライザ・パン・コンプレッサーなどをうまく活用していくようなケースが増えますが、DTMでも①③④あたりは重要だと思います。ということで、無駄に爆音バンドにならないためにも、いろいろ試してみてくださいね!