so far

駆け出しキーボーディストの皆様に耳コピの仕方、曲の解説などやってます。

初めてキーボードをはじめるあなたに(6)U-fretのコードにテンションノートをつけたい!

どーもどーも!ちょっと家に帰るのが早くなると更新が早くなります。笑 あと、普段仕事ではSurface、プライベートではMacbookを使っているのですが、今日は会社帰りにベストバイでSurface用のキーボードを購入したので、テンション上がる→なにか書きたい→ブログ、ということになりました。笑

ということで、今日は前回のU-fret論の続編です。前回の記事はこちら:

初めてキーボードをはじめるあなたに(5)U-Fret先生もありでしょう - so far

U-fretは超優秀なんだけど、たまに「ちょっと音が違うな」と思うことがあるはず。特にオシャレ系の曲をやるとあるよね。これは大抵、テンションノートの差によるものです。U-fretはテンションノート書いてないからね。ということで、今回は、U-fretのコードにテンションノートを加える方法をお教えします!ぶっちゃけ、これがマスターできたら、キーボードにとって曲のコピーはかなり完成度あがるよね。怖いものなしである。今回は、久保田先生のLove Rainを題材にしてみます。

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U-fretの楽譜はこちら。

LOVE RAIN ~恋の雨~ / 久保田利伸 ギターコード譜 - U-フレット

コードは本文に書いていくので、U-fretは特に開かなくてもいいかもしれません。できれば手元に鍵盤があるといいと思います。さて、それではいってみましょう。今回は難易度別に解説したいと思います。

レベル1:セブンスの中で一番聞こえる音を足す。

最も簡単かつ、一番燃費がいいです(費用対効果が高いことを、燃費がいいと言います。僕の周りではw)。とにかくセブンスにフォーカスします。あとは放置。笑 セブンスのテンションノートは結構種類があり、かつ響きが相当変わるので、入ると目立ちます。だからこそ、原曲から拾ってきて、それをテンションノートとして無理やり足しちゃおう、という作戦です。ということで、早速見てみましょう。例えば、2:56からのコードはU-fretではこうなっています。

|EbM7 | Ebm6 | Dm7 | G7 |

最初の3つはまあいいんですが、最後のG7、トップノートがEbのように聞こえませんか?シンセの音もEbになっているし、仮にバンドでやるときにピアノ一本でやるとしたらシンセのパートがなくなるし、この音はコードに反映させたい気がしませんか?しますよね(強引)。G7から見たEbはm6という見方もできるのですが、6と7が共存することはなく、かつ7が優先されるので、6は13になります。Eのフラットなので、b13になるわけです。左手でG、右手で下からF、B、Ebという風にコードを積むと、それっぽくなるではないですか!!!
こんなかんじでやっていけばOKです。基本、気になるところだけでOKです。

レベル2:トップノートの音を取る

だんだんレベル1だけだと物足りなくなってくるものです。笑 そんな読者様にはレベル2。トップノートの音を取っていき、その音をU-fretに書いてあるコードに入れる方法です。基本的にはやってることはレベル1と変わらないですね。なんでレベルを分けたんですか これは一応耳コピの範疇になりますが、単音を取るだけなので、ピアノをやっていた人だったら結構簡単にできると思います。実際に音源を聞いてみましょう。Bメロの1:07~1:14ぐらいまでですかね。1小節に2個ずつコードが入っています。こんな感じ。

| Cm7 | F7 | BbM7 | EbM7 | Cm7 | D7 |  Gm~ (最後は省略)

最初のCm7からD7まで、トップノートはG G F F Eb Fとなっています。この音がコードトーンの中にあったら、ただ単にコードを転回すればOK、なければ、テンションノートとして足してしまえばOKです。
・GはCm7の5度の音なのでそのままでOK
・2個目のGはF7に含まれていない→GはF7から見ると9度なのでF7(9)
・FはBbM7に入っているのでそのまま
・その次のFはEbM7に含まれていない→EbM7から見ると9度なのでEbM7(9)
・EbはCm7に含まれているからそのままでOK
・FはD7に含まれていない→D7からみると#9なので、D7(#9)

というかんじになります。まとめると、こんなかんじです。

| Cm7 | F7(9) | BbM7 | EbM7(9) | Cm7 | D7(#9) |

簡単でしょ?#や♭が含まれるオルタードテンションとか、名前だけ聞くと意味不明だけど、ただ単にトップノートを揃えるためだけに存在していると考えれば、そんなに難しくないです。はい次。

レベル3:コード理論から攻める(セブンス編)

これはコード理論がわかっていれば、そんなに難しくないです。ここまでくると、
実はテンションノートをつけるというよりは、U-fretのコードの間違いを直すみたいな意味合いが強くなってきます。これができた暁には、「ああ、Uf -Fretね。あれ便利だけど、たまにコード間違ってるんだよなあ」とドヤ顔しましょう。笑
レベル1でもちょっと触れましたが、セブンスコードはメジャーコードに解決するかマイナーコードに解決するかでテンションノートが全く違います(レベル3なので、話のレベルが上がっています)。メジャーに解決するドミナントのテンションは9か13、マイナーに解決するドミナントはb9、#9、b13のどれかがつきます(本当は11thもあるけど、ややこしいので放置)。
さて、課題曲に戻ります。1:55からの間奏部分で、EbM7 Ebm6 Dm7 Gaug Bb という進行が出てきます。コード理論をやってきた人なら、「augってやだなあ」と思いますよね。それもそのはず、augというのはコード理論で出てこないからです。でもあんなに網羅的に体系だてて音楽理論を説明しているのに、augが説明できないなんておかしいでしょ。そういう風に考えられたアンタは偉い。これ、答えをいうと、音楽理論にはaugはaugという形ではほぼ出てこないけど、あるコードにテンションノートを足すと、途端にその響きが出てくるんです。それがセブンスの(b13)です。例えばG7(b13)の構成音はG, B, D, F, Ebですが、DとFを抜かすとG, B, Ebとなり、これは完全にaugではないか!つまり、U-fretでaugが出てきたら、7(b13)の可能性があると疑ってください。
あと、理論的なアプローチにしても、GというのはキーBbの中では6度に位置するんだけど、5度下がCマイナーだからオルタード系のセブンスになる可能性が結構あります。
ここまで、これ本当にコード理論から攻めてると言えるのかよくわからなくなってきましたが、とりあえずそんな感じです。w
同様に、Ab6など、シックススのコードがたまに出てきますが、これも、本来ならAb7(13)とすべきものをAb6と書いているだけの可能性があります。6th系もやりづらいと思うので、全部セブンスの13thに置き換えてしまって良いです。なんかだんだん理論が関係なくなってきたな・・・

レベル4:コード理論から攻める(全般編)

テンションノートは一見とっつきにくいですが、セブンス以外は実はスケールがある程度わかっていれば、とても簡単です。もう少し言うと、アベイラブル・ノート・スケール(と、アボイドノート)がわかれば楽勝です。
キーがCだと、使える音はCDEFGABの7種類になるわけです。が、例えばコードがDm7の場合、アボイドノートは6度、すなわちBは使っちゃダメな音ですね。テンションノートとは、このCDEFGABのうち、コードトーンとアボイドノートを除外した残りの音、と言う風に理解してください。つまり、コードトーンであるD、F、A、Cと、アボイドノートのBを除外した残りのEとGがテンションノートです。EはDm7からみて9th、Gは11thになるので、キーがCの時、Dm7には9と11が使える、と言う具合になります。
同様に、キーがCでコードがCM7の場合、コードトーンがC、E、G、B、アボイドノートがF、と言うことで、テンションノートは9thと13thになります。
こんな具合で、アボイドノートさえ分かれば使えるテンションノートはすぐわかっちゃうのです。これはすごいでしょ。
セブンスだけは例外です。レベル3で書いた通り、解決先がメジャーかマイナーかで変わってきます。
これがなんとなくイメージでパッとわかるようになると、トップノートをこうしたいなあ的なことを考えながら、スルスルとテンションノートをつけることができちゃうわけです。

レベル5:響きで聞き分ける

正直、レベル2から4が全部できれば、ここまでやらなくてもかなり本物に近いテンションノートが抑えられているはずですが、一応究極編と言うことで。
例えば、BbM7のトップノートがFの場合、下からBb、A、D、Fと積めばボイシング的には完了なのですが、レベル2の例とか、よーーーーく聞くと実は下からBb、A、C、D、Fになっているような気がしませんか?しますよね(強引)。要はBbM7(9)と言うこと。特にナチュラルな9thはあまりコード全体の響きに大きな影響を及ぼさないため、トップノートでもなければなかなか聞き取りにくいです。ただ、トップノートではないということは、どれかのコードトーンと必ず全音か半音でぶつかっているので、その微妙な音の濁りを見つけることができれば、聞き分けられる。かも?

 

まとめ

はい、ということでかなり長くなりましたが、これがテンションノートのつけ方です。レベル5など、正直ここまでやるならU-fret使わなくていいじゃん!ていう話になるよね。本末転倒なので、いかに燃費よくテンションノートを付与できるか、という点に心血を注ぎましょう。レベル4まではマスターしたほうがいいです。ちなみに、ここに書いた方法というのは全てポップス、ロック、R&Bあたりしかカバーできておりません!特にJazzはもっと複雑です。Ego-wrappinとか東京事変ぐらいなら今回の記事でカバーできますが、Bill Evansやりたいとか思うようならば、Jazzのボイシングの本を買って勉強しましょう。。。

あと、今回はテンションノートについてでしたが、最後の方とか、ちょびっとスケールの話が出てきたと思います。もうお分かりかもしれませんが、テンションノートとスケールの性質はほぼ同じです。スケールはキーとコードネームの組み合わせで決まりますが、同様にテンションノートもキーとコードネームの組み合わせで決まります。ジャズのコード本にテンションノートが載っていないのはそのためで、キーとコードネームがあれば使えるテンションが絞られるから、自由につけちゃってちょ、という意思表示なわけです(逆にどうしてもこのテンションノート!という場合には書いてあることもあります)。ということなので、ここでテンションノートがイマイチ理解できなかった場合は、スケールを学んだ後にもう一度ここに戻ってきましょう。そうすると、かなり理解が深まると思います。

いやーーーー今日はキーボードを買ったから試しにタイピング、とか言ってたけど、全然そんな軽いノリでできるトピックじゃなかった。。。もっとアホな話にしておけばよかった・・・

それでは、健闘を祈る。ちなみに、次回はボイシングのお話です。これはもうちょっとシンプルな予感・・・

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